『資本主義の「多様性」を検証』
同書の原題は、“mondialisation et r'egulations : europe et japon face 'a la singularit'e am'eicaine”で、直訳すれば「世界化(モンディアリザシオン)と諸調整(レギュラシオン)―アメリカ的特殊性に直面したヨーロッパと日本」となっており、特に、“世界化(mondialisation)”という語を、今や人口に膾炙して久しい“グローバリゼーション(globalisation)”に対置させている。
本書の由来は、2000年7月に開催された日仏共同の国際シンポジウム「世界化―経済的調整の収斂と多様性」であり、その報告等が本書のベースとなっている。編者にはフランス・レギュラシオン学派(French Regulation School)の泰斗=ロベール・ボワイエ(Robert Boyer)氏などが名を連ね、日欧における気鋭のエコノミスト達がアメリカ型資本主義の“普遍性”なるものを相対化し、世界の各地域がもつ固有の社会的諸関係に根差した資本主義の“多様性”を例証している。
具体的には、“グローバリズム(globalism)”という名の「市場主導型資本主義(アメリカ・モデル)」に対して、「アメリカ・モデル」が決して“ワン・ベスト・ウェイ”ではないこと。そして、「(経済の―引用者)世界化はいくつかの制度や組織を無効にするが、同時に資本主義や企業経営モデルの多様性を刷新する」(R・ボワイエ)ことを明弁し、“グローバリゼーション=アメリカ・モデルへの収斂”に対抗する論陣を張っている。
まさに、「グローバリズムの時代とは、各国の多様性を前提とせざるをえない時代である」(佐伯啓思)。私は、「世界経済のアメリカ化」(伊藤元重)を所与として、若しくはそれを避けがたい必然・運命として受容する前に、本書等を手がかりとしつつ「アメリカ資本主義の諸制度の普遍性なるものを相対化する」(R・ボワイエ)試みをもう少し続けていかねばならないと考える。